活字書体をつくる

新しい活字書体として復刻するための覚え書きです。修正・加筆することがありますのでご了承願います。

和字書体「ほくと」の企画書3/3

5 ファミリー内の位置 ウエイト:メディウム(Medium)とする。 6 使用する目的 本文用 (書籍・雑誌の本文/ウェブサイトの本文/広告のボディコピーほか) 7 組み方向 縦組/横組 8 適正印字サイズ 10Q—16Q 9 制作字数 計278字 (参考:「ばてれん」…

和字書体「ほくと」の企画書2/3

3 デザイン・コンセプト 「ほくと」は、『新考北海道史』の「序」と「まえがき」にもちいられた活字(和字書体)を参考にして、現代の日本語の活字書体(デジタルタイプ)として使用する目的で復刻・制作する。 参考にした資料:『新考北海道史』(奥山亮著…

和字書体「ほくと」の企画書 1/3

1 活字書体の名称 「ほくと」(北斗) 原資料が札幌の北方書院から出版された『新考北海道史』であることから、函館〜札幌間を運転されている特急「北斗」にちなんで、書体の名称を「ほくと」とした。 参考: 特急「北斗」は1965年10月から函館~旭川間で運…

漢字書体「武英」の企画書 3/3

5 ファミリー内の位置 ウエイト:メディウム(Medium)とする。 6 使用する目的 本文用 (書籍・雑誌の本文/ウェブサイトの本文/広告のボディコピーほか) 7 組み方向 縦組/横組 8 タイプサイズ 10Q—16Q 9 制作字数 日本工業規格JISX0208:1997に基づ…

漢字書体「武英」の企画書 2/3

3 デザイン・コンセプト 「武英」は、官刻本(銅活字版)『古今図書集成』(1726年、武英殿)を参考にして、現代の日本語の活字書体(デジタルタイプ)として使用する目的で復刻・制作する。 参考: ①武英殿刊本(殿版)とは 武英殿刊本(殿版)とは、中央…

漢字書体「武英」の企画書 1/3

1 活字書体の名称 「武英」(ぶえい) 北京・故宮博物院の西南部に位置する武英殿から、書体の名称を「武英」とした。 参考: 武英殿は明代初頭に創建された。明代には皇帝の斎戒や大臣接見の場となり、清代には御用絵師のアトリエになっていたが、清代の16…

書体のイメージ調査

新潮社の文芸情報誌『波』2017年8月号、9月号に掲載された「鳥海修/あなたは今、どんな書体で読んでいますか?」では、書体選択の判断基準として「太さ」「大きさ」「大小の差」「線の抑揚」「柔らかさ」「フトコロ」「粘着度」「形の新旧」「普遍性」「濁…

書体見本字種で組む文章

最初に書体見本字種12文字を制作するので、これだけでテスト用の組み見本ができないものかと考えたのが、つぎの文章です。文字数が140字になるように考えました。 グラフィック・デザイナーの東永なつみさんは、ペガサスとユニコーンの激闘にはとても驚いた…

書体見本字種

欣喜堂の書体見本字種は、『もじ部 書体デザイナーに聞くデザインの背景・フォント選びと使い方のコツ』(雪朱里+グラフィック社編集部編著、グラフック社、2015年)の120ページ、121ページに図版として掲載されています。 毛 永 辺 紙 囲 室 調 東 激 機 …

00-3「K.E.Gemini」の書風

K.E.Geminiは、ウィリアム・キャズロン(1692−1766)が製作した活字(再鋳造)が使用されている『The Diary of Lady Willoughby』(1844年)から抽出したキャラクターをベースに制作した。 Caslon 540、Adobe Caslonなど既存の復刻書体を参考にしながら、不…

00-2「K.E.Taurus」の書風

K.E.Taurusは、パリのクロード・ギャラモン(?−1561)が製作した活字が用いられている『ミラノ君主ヴィスコンティ家列伝』(1549)から抽出したキャラクターをベースに制作した。 Stempel Garamond、Adobe Garamondなど既存の復刻書体を参考にしながら、不足…

00-1「K.E.Aries」の書風

K.E.Ariesは、フランス人の印刷者ニコラ・ジェンソン(1420?−1481)が製作した活字が用いられている『博物誌』(1472年)の1ページを参考にして制作した。 Monotype Centaur、Adobe Jenson など既存の復刻書体を参考にしながら、不足のキャラクターも含め…

00 はじめに

欣喜堂で欧字書体として制作しているグリフをまとめておく。 Proportional-pitch font 文章や単語にもちいるために、キャラクター個々の字幅を設定した欧字を制作している。 Basic Latin Glyphs ラテン文字のCapital letters, Small letters, Lining Figures…

「まどか」の原資料

青山進行堂活版製造所『富多無可思』(1909年)の83ページに所載の四号楷書体活字からキャラクターを抽出した。株式会社東京築地活版製造所『活版見本』(1903年)の19ページも参考にした。復刻において、いちばんたいせつなのは書風を把握することである。…

「きざはし」の原資料

東京築地活版製造所印刷『長崎地名考』(安中書店蔵版、1893年)および『五号明朝活字書体見本 全』(東京築地活版製造所、1894年)からキャラクターをサンプリングした。その上で、全体的に太さ、大きさ、姿勢、寄り引きなどを見直した。現代から未来にかけ…

「かもめ」の原資料

内閣印刷局『内閣印刷局七十年史』(1943年)からキャラクターをサンプリングしたものをアウトライン化した。小さいポイントなので、まずはもとの線質を再現することからはじめた。基本的な書風を見極めながら、大きさをそろえたり、太さをそろえたり、寄り…

和字書体のフォント

欣喜堂で制作している和字書体のフォントは、ひらがな、かたかな、および表記記号(約物・括弧など)が含まれている。 ひらがな ①ひらがな48字ひらがな48字(清音・撥音)を制作する。 ②音声符号付ひらがな濁音符(゛)と半濁音符(゜)を、かたちと大きさを…

00-6「蛍雪」の書風

『欽定全唐文』(1814年、揚州詩局)の1ページを拡大し、双鉤填墨法によってアウトライン化した。そこから筆法・結法・章法を見極めながら書風をくみとり、意臨するがごとく、活字書体「蛍雪」として完成させていく。

00-4「金陵」の書風

明末の南京国子監刊本である『南斉書』(1588-1589)の1ページを拡大し、双鉤填墨法によってアウトライン化した。そこから筆法・結法・章法を見極めながら書風をくみとり、意臨するがごとく、活字書体「金陵」として完成させていく。

00-2「龍爪」の書風

宋代の四川地方の刊本である静嘉堂文庫所蔵の『周礼』(巻第九・巻第十)を拡大し、双鉤填墨法によってアウトライン化した。そこから筆法・結法・章法を見極めながら書風をくみとり、意臨するがごとく、活字書体「龍爪」として完成させていく。

00 すべては書風のために

書体設計においては、どうしても一つひとつの文字の形にとらわれがちであるが、書風を見ることが大事だと思う。書風というのは、文章を組んだときの全体の雰囲気である。 筆法・結法・章法を見極めることも、すべては書風のためにある。 基本は書写にある。…

12 字間

『周礼』巻第九の第1ページの字間 文字と文字が接触するほどきつくなっている。文字の大きさは画数によって異なり横のラインはそろっていないが、16字詰めということは維持されている(天地揃え)。活字書体「龍爪」で再現すると、1文字ごとにセット幅を持…

11 布置(整列・姿勢)

布置布置とは、文字を正確な位置に調整することである。 整列活字角のなかに字面を置く基準は、字面の中心を、活字角の中心にあわせることだ。具体的には活字角に字を置いてみて、天地左右の空間の均衡がとれているかということで判断する。天地左右の空間が…

10 字角・字面・余白

字角(ボディ)「字角」(ボディ)とは、活字書体を設計するスペース。すなわち活字一字分の大きさをボディ(写真植字では「仮想ボディ」)という。 字面(タイプフェイス)この活字角の中で、活字に彫られている字の表面を「字面」(タイプフェイス)という…

9 左右法・上下法・包囲法

◆左右法 第十九法 左寛右窄法 第二〇法 左窄右寛法 左部を広く右部を狭くする結法と、左部を狭く右部を広くする結法である。 第二一法 譲左法(じょうさほう) 第二二法 譲右法(じょうゆうほう) 旁をひかえる結法と、偏をひかえる結法である。偏と旁の関係…

8 整斉・参差

筆法は筆画ひとつひとつをどう画くかということであり、結法は組み立て方である。筆法をエレメント、結法を字形という人もいるが、わたしは筆法、結法ということにしている。 結法(結構法)については、佘雪曼(シャ・セツマン、1908−1993)の「結構四十四…

7-7 「美華」の概形・抱懐

第一法 長法 「美華」の東字も、概形・抱懐から見れば、自・身・月と同じように、長形になっている。中央の閉じられた部分を締めることによってもともとの長形のイメージを保ちつつ、横画を長くして、より正方形に近づこうとしている。そのため、最大字面の…

7-3 「志安」の概形・抱懐

第一法 長法 「志安」の東字も、最大字面は正方形に近いが、概形・抱懐から見れば、自・身・月と同じように、もともと長く書く字であることがわかる。概形・抱懐が「陳起」よりさらに長方形になっているのは「志安」が、全体的に長形になっているということ…

7-1 「陳起」の概形・抱懐

第一法 長法 「陳起」の東字を箱に入れようとすると、豎画と掠・磔の先端があるので、その箱は正方形に近い。だが、概形・抱懐を重ね合わせると、自・身・月と同じように、もともと長く書く字であることがわかる。最大字面との差は大きいが、抱懐を極端に締…

7 概形・抱懐

筆法は筆画ひとつひとつをどう画くかということであり、結法は組み立て方である。結法(結構法)については、佘雪曼(シャ・セツマン、1908−1993)の「結構四十四法」を下敷きにして、活字書体に当てはまらない八法を除いて「活字書体結構三十六法」として再…