活字書体をつくる

Blog版『活字書体の仕様書』

[漢字]04 筆法2

「陳起」の追加十二則

①折釘 転折以降は直角ではなく、下方を締めるように左に倒して書く。 ②曲尺 転折以降は直角になり、垂直になるように書く。 ③散水 第二画が左に出て、第三画でまたもとに戻る。第三画は長く跳ね上げる。 ④綽勾 永字八法の弩法+趯法とはことなり、しなやかに…

漢字・第9回 追加十二則

さらに細かいところでの筆法として、ちくま新書の『日本の文字』(石川九楊、筑摩書房、2013年)に倣ってまとめてみた。これを「追加十二則」ということにする。 ①折釘 折れた釘にようだから「折釘」という。口の書き方。第二画の転折以降は直角ではなく、下…

「端午」の補足十二法

①宝冠 「銘石」と同じように、縦筆、横筆、縦筆で構成される。 ②獅口 横筆は水平を保ち、転折以降は包み込むように運筆し、そのまま回すように払う。 ③浮鵞 直角に曲がり、収筆で右上に回すように払う。 ④飛雁 やや浅いカーブで、右に回すように払う。 ⑤鳳翅…

「銘石」の補足十二法

①宝冠 これまで記してきた楷書系統の書体とはことなり、縦筆、横筆、縦筆で構成される。 ②獅口 横筆は斜めになり、転折以降はゆるやかにカーブしているが跳ねない。 ③浮鵞 直角に曲がり、収筆で右上に抜く。跳ねない。 ④飛雁 やや深いカーブで、右上に抜く。…

「方広」の補足十二法

①宝冠 第一画は起筆から左下に引く感じ。第二画は転折でしっかり留めゆっくり跳ねる。 ②獅口 転折以降は包み込むように運筆し、ゆっくり跳ねる。 ③浮鵞 丸みを帯びながら運筆し、ゆっくり跳ねあげる。 ④飛雁 やや深くカーブさせ、ゆっくり跳ねあげる。 ⑤鳳翅…

「美華」の補足十二法

①宝冠 第一画は雨だれ型にまとめる。第二画は転折を強くし、勢いよく跳ねる。 ②獅口 横筆は直線で、転折以降はゆったりと包み込むように運筆する。 ③浮鵞 縦筆は直線だが、横筆へとなめらかに見えるように画く。 ④飛雁 比較的深くカーブさせる。 ⑤鳳翅 転折…

「蛍雪」の補足十二法

①宝冠 第一画は少し長い。第二画の転折は強く、短く跳ねる。 ②獅口 横筆はほぼ直線で、転折以降はゆったりと包み込むように運筆する。 ③浮鵞 ゆったりと丸く膨らませながら運筆し、収筆で跳ね上げる。 ④飛雁 起筆から少し膨らませながら運筆し、収筆で跳ね上…

「武英」の補足十二法

①宝冠 第一画は短く丸い。第二画の横筆はほぼ直線で、転折では強く押さえ短く跳ねる。 ②獅口 横筆はほぼ直線で、転折以降は丸く包み込むように運筆する。 ③浮鵞 ゆったりと湾曲し、横筆は膨らみをもたせる。収筆で短く跳ねる。 ④飛雁 起筆から大きく膨らませ…

「金陵」の補足十二法

①宝冠 第一画は回しながら描き、収筆は雨だれのように丸くなる。第二画の横筆はほぼ直線で、転折では強く押さえ鋭く跳ねる。 ②獅口 横筆はほぼ直線で、転折では強く押さえ、丸く包み込むように運筆する。 ③浮鵞 ゆったりと湾曲し、横筆も膨らませる。収筆で…

「志安」の補足十二法

①宝冠 第一画の起筆は丸く、やわらかく収める。第二画はやや反りながら転折で強く押さえている。 ②獅口 横筆は斜めに下がり、転折はきわめて軽い。転折以降も包み込むように運筆する。 ③浮鵞 ゆったりとやわらかく湾曲させる。収筆で真上に思い切り跳ねる。 …

「龍爪」の補足十二法

①宝冠 第一画は起筆が強く、直線的で長い。第二画は転折で強く押さえている。 ②獅口 横筆は斜めに下がっていて、転折は強めである。転折以降は包み込むように運筆する。 ③浮鵞 直角的に湾曲させる。収筆で少しもどしてから跳ねる ④飛雁 斜めに反るように運筆…

「陳起」の補足十二法

①宝冠 第一画は強く直線的に。第二画は転折で強く押さえ、短く払う。 ②獅口 横筆は下げない。転折以降は直線的である。 ③浮鵞 直角的に湾曲させる。 ④飛雁 斜めに反るように運筆し、収筆で右上に跳ね上げる。 ⑤鳳翅 転折から少し内側にもどるように運筆し、…

漢字・第8回 補足十二法

「永字八法」では、多くの筆法が不足している。その不足を埋めるものとして、「変化法」とよばれるものがある。その中から、まず必要最小限のものとして、ちくま新書の『書を学ぶ』(石川九楊、筑摩書房、1997年)に倣って「補足十二法」としてまとめてみた…