活字書体をつくる

新しい活字書体を制作するための覚え書きです。修正・加筆することがありますのでご了承願います。

4-4 「金陵」の補足十二法

①宝冠 第一画は回しながら描き、収筆は雨だれのように丸くなる。第二画の横筆はほぼ直線で、転折では強く押さえ鋭く跳ねる。 ②獅口 横筆はほぼ直線で、転折では強く押さえ、丸く包み込むように運筆する。 ③浮鵞 ゆったりと湾曲し、横筆も膨らませる。収筆で…

4-3 「志安」の補足十二法

①宝冠 第一画の起筆は丸く、やわらかく収める。第二画はやや反りながら転折で強く押さえている。 ②獅口 横筆は斜めに下がり、転折はきわめて軽い。転折以降も包み込むように運筆する。 ③浮鵞 ゆったりとやわらかく湾曲させる。収筆で真上に思い切り跳ねる。 …

4-2 「龍爪」の補足十二法

①宝冠 第一画は起筆が強く、直線的で長い。第二画は転折で強く押さえている。 ②獅口 横筆は斜めに下がっていて、転折は強めである。転折以降は包み込むように運筆する。 ③浮鵞 直角的に湾曲させる。収筆で少しもどしてから跳ねる ④飛雁 斜めに反るように運筆…

4-1 「陳起」の補足十二法

①宝冠 第一画は強く直線的に。第二画は転折で強く押さえ、短く払う。 ②獅口 横筆は下げない。転折以降は直線的である。 ③浮鵞 直角的に湾曲させる。 ④飛雁 斜めに反るように運筆し、収筆で右上に跳ね上げる。 ⑤鳳翅 転折から少し内側にもどるように運筆し、…

4 補足十二法

「永字八法」では、多くの筆法が不足している。その不足を埋めるものとして、「変化法」とよばれるものがある。その中から、まず必要最小限のものとして、ちくま新書の『書を学ぶ』(石川九楊、筑摩書房、1997年)に倣って「補足十二法」としてまとめてみた…

3-10 「端午」の永字八法

①側 等線体だが起筆と収筆はある。とくに下方のアウトラインが短くなることのないよう、切口の角度に注意が必要である。(「亀頭」は、「端午」では短い竪画のようになる) ②勒 「十字二法」「三字三法」の横画と同じ。収筆は「弩」の起筆と一体化して曲尺と…

3-9 「銘石」の永字八法

①側 隷書の筆法を残すために、逆反りにした。右向きの楔形になる場合もある。 ②勒 「十字二法」「三字三法」の横画と同じ。収筆は「弩」の起筆と一体化して曲尺となる。 ③弩 「十字二法」「川字三法」の竪画と同じ。起筆は「勒」の収筆と一体化している。収…

3-8 「方広」の永字八法

①側 少し湾曲した柿の種のような形状になる。(「亀頭」は、「方広」では短い竪画のようになる) ②勒 「十字二法」「三字三法」の横画と同じ。収筆は「弩」の起筆と一体化して、力強い曲尺となる。 ③弩 「十字二法」「川字三法」の竪画と同じで背勢となる。…

3-7 「美華」の永字八法

①側 少し長めに運筆する。収筆は「金陵」と同じく雨だれのように丸くなる。 ②勒 「十字二法」「三字三法」の横画と同じだが、収筆は「弩」の起筆と一体化して曲尺となっている。 ③弩 「十字二法」「川字三法」の竪画と同じで、起筆は「勒」の収筆と一体化し…

3-6 「蛍雪」の永字八法

①側 素直な運筆で、柿の種のような形状になる。 ②勒 「十字二法」「三字三法」の横画と同じ。収筆は「弩」の起筆と一体化して曲尺となるが、それほど強くはない。 ③弩 「十字二法」「川字三法」の竪画と同じ。起筆は「勒」の収筆と、収筆は「趯」と一体化し…

3-5 「武英」の永字八法

①側 「金陵」より若干短い。収筆は「金陵」と同じく雨だれのように丸くなる。(「亀頭」は短い竪画のようになっている) ②勒 「十字二法」「三字三法」の横画と同じだが、収筆は「弩」の起筆と一体化して曲尺となっている。 ③弩 「十字二法」「川字三法」の…

3-4 「金陵」の永字八法

①側 回しながら描いてゆき、収筆が雨だれのように丸くなる。(「亀頭」は短い竪画のようになっている) ②勒 「十字二法」「三字三法」の横画と同じだが、収筆は「弩」の起筆と一体化して曲尺となっている。 ③弩 「十字二法」「川字三法」の竪画と同じで、起…

3-3 「志安」の永字八法

①側 永字では、つぎの「勒」への気脈が通じるように跳ねているが、収筆からそのままそっと引き抜く筆法もある。(「亀頭」は短い竪画のようだが、斜めになっている) ②勒 起筆は「側」からの気脈を通じさせて、しっかりと折り返している。収筆は「弩」の起筆…

3-2 「龍爪」の永字八法

①側 収筆が尖って三角形のようになる。(「亀頭」はなく、ほとんどが「側」になっている) ②勒 起筆は40度で入る。収筆は「弩」の起筆と一体化しているので龍爪の強さが薄められている。折り返し角は50度である。 ③弩 起筆は「勒」の起筆と、収筆は「趯」と…

3-1 「陳起」の永字八法

①側 収筆が尖って三角形のようになる。(「亀頭」は、「陳起」では短い竪画のようになっている) ②勒 「十字二法」「三字三法」の横画と同じ。収筆は「弩」の起筆と一体化している。 ③弩 「十字二法」「川字三法」の豎画と同じ。起筆は「勒」の収筆と、収筆…

3 永字八法

①側(ソク) 「側」は筆と筆先の側面を使ってえぐるように書く。三折法。二折法である亀頭(キトウ)については随時ふれる。 ②勒(ロク) 「十字二法」「三字三法」の横画と同じ。「勒」は馬の頭に掛けて馬を御する革紐のことで、革紐を引き締めるように書く…

2-10 「端午」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) 第1画、第2画、第3画とも水平の直線になっている。「仰」「平」「覆」の区別はない。 2 川字三法(豎画) 第1画、第2画、第3画とも垂直の直線になっている。「向」「直」「背」の区別はない。

2-9 「銘石」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) 横画はすべて水平である。 第1画、第2画は波形をもたない。画の長さは、第1画が第3画の70%、第2画が55%ぐらいだが、原資料「王興之妻宋和之墓誌」では同じぐらいの長さになっている。第3画は大きく波形をもつところだが、「銘石」は波形…

2-8 「方広」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) ①第1画は収筆部にむけて上に反る。上側のアウトラインが弓なりになっている。基本の6度よりも急で、およそ9度ぐらいだ。画の長さは短く、第3画の70%である。 ②第2画はまっすぐに運筆する。角度も6度ぐらいだ。画の長さは、第3画の60%で…

2-7 「美華」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) 第1画、第2画、第3画とも水平の直線になっている。「仰」「平」「覆」の区別はない。 2 川字三法(豎画) 第1画、第2画、第3画とも垂直の直線になっている。「向」「直」「背」の区別はない。

2-6 「蛍雪」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) ①第1画は収筆部にむけて上に反る。「蛍雪」の場合には、上側のアウトラインが弓なりになっている。基本的な6度という角度より少し急で7度ぐらいだ。画の長さは短く、第3画の70%ぐらいだ。 ②第2画はまっすぐに運筆する。「蛍雪」もまっ…

2-5 「武英」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) 過渡期明朝体は横画が水平になる。第1画、第2画、第3画ともに同じ筆法で「仰」「平」「覆」の区別はしないが、逆転することのないように注意する必要はある。 画の長さは第3画を基準にすると、第1画はその70%ぐらい、第2画は60%ぐらい…

2-4 「金陵」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) ①第1画は、3.5度弱ぐらいの角度で、基本とする3度よりごくわずかに急になっている。ほぼ直線で、画の長さは第3画の70%ぐらいだ。 ②第2画は基本とする3度である。まっすぐに運筆しており、画の長さは、第1画の60%ぐらいと、かなり短い。 …

2-3 「志安」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) ①第1画は、基本とする12度という角度より急の15度ぐらいになっている。起筆は上からの脈絡を残して折り返し、グイッと弓なりに収筆部に向かって持ち上げている。画の長さは第3画の半分強ぐらいだ。 ②第2画は基本とする12度で、まっすぐ…

2-2 「龍爪」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) ①第1画はほぼ直線になっているので、基本とする6度という角度より急の9度ぐらいになっている。それを収筆部の龍爪で押さえている。画の長さは短く、第3画の85%ぐらいだ。 ②第2画はまっすぐ運筆している。角度も基本の9度になっている。…

2-1 「陳起」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) ①第1画はほぼ直線であるが、上側のアウトラインの中ほどが若干反っている。基本的な9度という角度よりは急で、11度ぐらいになっている。画の長さは短く、第2画にくらべて1.2倍ぐらいだ。 ②第2画はまっすぐで、角度も基本の9度になってい…

2 三字三法・川字三法

三字三法は横画の筆法、川字三法は豎画の筆法である。 1 三字三法(横画) ①第1画は「仰」で、収筆部にむけて上に反る。 ②第2画は「平」で、まっすぐに運筆する。 ③第3画は「覆」で、起筆部と収筆部が下がっている。 2 川字三法(豎画) ①第1画は「向」で…

1-10 「端午」の十字二法

『瞿秋白文集 一』(人民文学出版社、1953年)をベースにした「端午」の字様をみていきたい。この見出し書体も、細部についてはさまざまな解釈ができると思う。まだ試作の段階であるが、現時点での私なりの解釈によって書き進めていくことにする。 現代の黒…

1-9 「銘石」の十字二法

王興之墓誌(341年)と宋和之墓誌(348年)をベースにした「銘石」の字様をみていきたい。この墓誌銘の字様は、これまで見てきた楷書系書体とはことなり、東漢の隷書体から北魏の真書体への中間だといわれている。これを、隷書体にちかいものとして捉えるこ…

1-8 「方広」の十字二法

『大方廣佛華巖経』(990年—994年、龍興寺)をベースにした「方広」の字様をみていきたい。「方広」は仏教経典・儒教経典で用いられた荘厳で権威的なイメージのある肉太の楷書体である。 仏教経典の印刷は唐代から行われており、時代と地域を越えて、経典の…