活字書体をつくる

Blog版『活字書体の仕様書』

「端午」の十字二法

瞿秋白文集 一』(人民文学出版社、1953年)をベースにした「端午」の字様をみていきたい。この見出し書体も、細部についてはさまざまな解釈ができると思う。まだ試作の段階であるが、現時点での私なりの解釈によって書き進めていくことにする。

現代の黒体(ゴシック体)は、起筆や収筆の解釈の違いにより多くのバリエーションがあり、それぞれが独立した書体となっている。「端午」もそのひとつであるが、できるだけ原資料に忠実にという姿勢で試作している。

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1 横画

横画は水平で、アウトラインは長方形である。原資料は、活字サイズが小さく、印刷が不鮮明である。文字によっては両端が少しラッパ状になっているとも、隷書のような起筆、収筆になっているとも捉えられる。ここでは全体の雰囲気から、シンプルな長方形だと解釈した(試作段階なので、変更があるかもしれない)。

シンプルな長方形といっても、そこには起筆、送筆、収筆がある。つまり、平筆で左から右へと筆を動かしているのである。力を均等にしてゆっくりと筆を運んでいるので、長方形の上側も下側も直線になっている。

 

2 豎画

豎画は垂直で、アウトラインは長方形である。横画と同じく、文字によっては両端が少しラッパ状になっていると捉えられるものもある。ここではシンプルな長方形だと解釈した(試作段階なので、変更があるかもしれない)。

シンプルな長方形だが、起筆、送筆、収筆があり、上から下へと筆を動かしている。平筆でゆっくりと筆を運んでいるので、長方形の左側も右側も直線になっている。