活字書体設計2

[活字書体のできるまで]新しい活字書体として復刻するための覚え書きです。修正・加筆することがありますのでご了承願います。

書体のイメージ調査

新潮社の文芸情報誌『波』2017年8月号、9月号に掲載された「鳥海修/あなたは今、どんな書体で読んでいますか?」では、書体選択の判断基準として「太さ」「大きさ」「大小の差」「線の抑揚」「柔らかさ」「フトコロ」「粘着度」「形の新旧」「普遍性」「濁点」という10項目を挙げて説明しています。

これらは書体選択の判断基準ということなのですが、私は書体設計のコンセプトを考えるための指針として有効なことではないかと思います。そこで設計仕様書にまとめるために、これを考え直してみることにしました。

10項目のうち、「太さ」「大きさ」「大小の差」「線の抑揚」「フトコロ」というのは書体設計の仕様として考えるべきことだと思います。(最後に挙げられている「濁点」というのは和字書体のスペックなのでここでは除外します)

一方、「柔らかさ」「粘着度」「形の新旧」「普遍性」というのは、個人個人の印象によるものです。イメージを数値化するという統計的な手法をとる必要があるのではないかと思います。

以前から「明るくて現代的な書体です」とか「可愛くも妖しい書体です」という表現が制作者サイドの宣伝文句としてはありますが、実際にどのような印象で受け止められているかに興味があります。

私はこれまで「太さ」「大きさ」などの造形的な事柄については検討してきましたが、「柔らかさ」「粘着度」といった書体のイメージ調査について具体的に考えてきませんでした。

例えば、「フトコロが広い」書体が「明るい」イメージになるのか、ならないのか、書体のイメージと造形的な事柄とがどういう関係になっているのか興味深いところです。さらに、年齢、性別で変わるのか、時代によって移り変わるものなのか、継続しての調査があればと思います。

先日、「ほくと武英」の書体イメージの簡単なアンケートを実施することができました。回答者数が少ない(12名)なかで、ある程度の傾向は見いだせたと思います。今後、より多くの回答者で実施できたらなと思っています。

f:id:typeKIDS_diary:20180930163450j:plain

日本語では、和字書体、漢字書体、欧字書体を組み合わせることによって成り立っています。和字書体、漢字書体、欧字書体それぞれの造形、イメージ両面での分析とともに、その関係についても考えなければなりません。

この項目でいいのか、漢字と和字の割合が変わるとイメージは違ってくるのか、年代による違いはあるのか、タイプサイズで違いはあるのかなど、アンケートの取り方にも工夫が必要ですし、さらには分析のやり方も検討する必要があると思われます。