活字書体をつくる

Blog版『欣喜堂ふたむかし』/『欣喜堂四半世紀』

欧字・第15回 表記符号

…… パンクチュエーション・マーク period ピリオド 一般的に、小文字iのドットと同型にし、少し大きくする。その形状は、書体によって●、■、◆などがある。 comma カンマ 一般的に、periodに尾が付いたような形になる。または、斜線のような形になる。尾は十…

欧字・第14回 ダイアクリティカルマーク

…… アクセントや発音を区別するためにダイアクリティカルマーク(Diacritical marks)が必要になる言語がある。 ダイアクリティカルマークにはつぎのような種類がある。 Grave グレイヴ Acute アキュート Circumflex サーカムフレックス A, E, I, O, Uおよび…

欧字・第13回 フィギャア

…… ローマ数字(Roman numerals)とアラビア数字(Arabic numerals) 数字には、ローマ数字(Roman numerals)とアラビア数字(Arabic numerals)がある。 ローマ数字はラテン文字のI,V,X,L,C,D,Mをそのまま組み合わせて表記するので、数字として新たに制作…

欧字・第12回 スモール・レター

…… スモール・レター(small letters)は、小文字のことである。ミナスキュール(majuscule)ともいう。金属活字では、活字ケースを植字台の下部に立てかけたことから、ローワーケース(lower case)と呼んでいた。 フランク王国・カロリンガ朝の国王である…

欧字・第11回 キャピタル・レター

…… キャピタル・レター(capital letters)は、大文字のことである。マジュスキュール(majuscule)ともいう。金属活字では、活字ケースを植字台の上部に立てかけたことから、アッパー・ケース(upper case)と呼んでいた。 キャピタル・レターの源流は、ロ…

欧字・第10回 カーニング

…… Kerning カーニング サイドベアリングの設定が終わると、カーニングの設定をおこなう。カーニングとは、特定の文字の組み合わせだけを調整する作業である。 例えば、TokyoのTとoの間のように、サイドベアリングの調整だけではどうしても空いて見えるよう…

欧字・第9回 スペーシング

…… letter spacing レタースペーシング 文字が並んだときに、文字と文字との間隔(レタースペース)がないと読みづらいので、適度な間隔に調整することを指す。文字のデザインが完成しても、スペーシング次第で台無しになる可能性がある。書体設計としての評…

欧字・第8回 ディテールの調整

‥… 欧字書体においては、ディテールの調整が重要なポイントである。「錯視調整」とも「視覚調整」とも言われ、多くのレタリングのテキストでも書かれている。 1 文字の黒みを合わせるために、線の太さを調整する。(blackness) サンセリフ体の場合、同じ数…

欧字・第7回 ウィドゥスとカウンターの設定

…… タイプサイズ 活字の高さのことをタイプサイズという。現在は金属活字由来のpointと、日本の写真植字由来のQで表される。デジタルタイプのpointは、正確に1/72inchである。 ウィドゥス(width) 活字の幅のことをウィドゥスという。ウィドゥスは、字幅に…

欧字・第6回 ハイトとラインの設定

…… 1 baseline 大文字H、小文字nなどの仮想の並び線。OやVなどは視覚的に揃って見えるようにベースラインより少しはみ出すようにする。 2 cap-height and x-height キャップハイトはキャピタル・ハイトの略。Hなどの大文字の高さのことで、上部の並び線を…

欧字・第5回 エレメント

…… 1 エレメントの名称 次のような名称がある。 Stem(幹) Bowl(椀) Arm(腕) Foot(足) Spine(脊柱) Ear(耳) Shoulder(肩) Tail(尻尾) Bar(桟)、Crossbar(横木) Spar(垂木) Loop(輪) Apex(頂点) Peak(先端) Terminal(末端) Ver…

漢字・第24回 展開

…… ウエイトの展開 デジタルタイプでは、近代明朝体、ゴシック体を中心にして、Tn(シン=Thin)、L(ライト=Light)、R(レギュラー=Regular)、M(メディウム=Medium)、DB(デミボールド=Demi Bold)、B(ボールド=Bold)、EB(エクストラボールド=…

漢字・第23回 混植

…… 漢字書体だけの文章 漢字書体だけでの文章組みとしては、『千字文』が挙げられる。千字文とは、中国・梁の時代に、武帝(在位502年―549年)が周興嗣に命じて作らせた、文字習得のための教材である。 1000字の異なる漢字を一度の重複も無しに組み合わせて…

漢字・第22回 検査

…… 校正用出力 漢字書体の場合、誤字や異体字となっていることがある。制作中は文字のデザインに集中しがちになるのだ。まったく違う部首になっていたり、線が一本多かったり、とんでもない間違いが見落とされたということも経験している。 字体の基準となる…

漢字・第21回 偏と旁の関係

…… 文字(文と字)の成立段階は、「六書」という表現でまとめられる。六書とは、漢字の成り立ちと使い方の基本的な原則で、象形・指事・会意・形声・転注・仮借という六種類がある。このうち、転注・仮借は、漢字の使い方に関する原則である。 象形とは物の…

漢字・第20回 大きさの調整

…… ひとことで大きさの調整といっても、易しいことではない。 活字書体の学習の第一歩として、まず◆、■、▲、▼のように図形で練習する。◆に対して、■は小さくしないと同じ大きさにはならない。どのぐらいのい大きさにするのかを感覚的につかむ練習をするので…

漢字・第19回 太さの調整

…… 書体見本に「鬱」「酬」「鷹」を入れている活字書体の制作プロダクションがある。 漢字には「三」「力」「今」といった画数の少ない字種から、このような画数の多い字種もある。「三」「力」「今」と「鬱」「酬」「鷹」の画線を同じ太さにすると、文字全…

和字・第24回 展開

…… 字面サイズの展開 写植の石井明朝体には、字面率が大きい「大かな」、字面率が小さい「小がな」というファミリー展開があった。 この考え方はデジタルタイプでも多く踏襲されている。標準(ノーマル)に対して、大かな(ラージ)、小がな(スモール)を制…

和字・第23回 混植

…… 活字書体は実際に文章を組んでみなければ評価できない。書体の出来栄えを判断するには文章組が必要である。和字書体のイメージは、漢字書体、欧字書体との混植で初めて確認できるのである。 和字書体だけの文章 和字書体だけでの文章組みとしては、まず「…

和字・第22回 検査

…… 基礎的な修練を積んだタイプフェイスデザイナーでも、視点を変えることにより不具合を発見できる。最初に方向性を確立して進めたとしても、何度も試行錯誤して積み上げていき、全部完成した時にやっとその書体がわかる。 活字書体設計というのは虚像であ…

和字・第21回 カーニング

…… 手動写真植字機では、喰い込み詰め組用仮名文字盤が製作されていた。喰い込み詰め組用という名称であるが、実質的にはカーニングである。 喰い込み詰め組用仮名文字盤として、隣接2文字を喰い込ませた状態(ペアカーニング)の2全角で収容し、一度に2…

和字・第20回 プロポーショナル

…… 手動写真植字機では詰め組用仮名文字盤が製作されていた。詰め組用という名称であるが、実質的にはプロポーショナルである。つまり一字ごとに字幅(セットウィドゥス)を設定している。 詰め組用仮名には、自動字巾検出送り機能を持ったPAVO–J以降のPAVO…

和字・第19回 くくり符号

…… くくり符号は、起こし(始め)と受け(閉じ)の組み合わせで用いられる。和字書体だけで日本語の文章を表記することもあるので、和字書体のフォントに含まれると考えている。書体ごとにデザインするのであるが、ひらがな・カタカナと同じ書き方にするとい…

和字・第18回 くぎり符号・つなぎ符号

…… 1 くぎり符号(縦組み用、横組み用) 句点「。」(縦組み用、横組み用) 形状 正円を基本とする。 ※書体によっては、ひらがなと同一の筆記具で書かれたように設計する場合もある。 位置 縦組み用は全角のボディの右上に、横組み用は全角ボディの左下に置…

和字・第17回 くりかえし符号・準文字

1 ひらがなに準じて制作するくりかえし符号・準文字 繰り返し符号(ひらがな用) ひらがなに合わせて制作する。 「ゝ」「ゞ」(ひらがな返し) ひらがな「う」「え」「ふ」の第一筆を参考に制作する。濁音符はひらがなと共通である。 「〳」「〴」「〵」(…

和字・第16回 促音符・拗音符・長音符

促音符 促音(「あっ」「カッ」など)であることを示すために、清音のかなに続いて小書きにする「っ」「ッ」を指す。 拗音符 拗音(「きゃ」「ミュ」など)であることを示すために、清音のかなに続いて小書きにする「ゃ」「ゅ」「ょ」「ゎ」「ャ」「ュ」「ョ…

和字・第15回 濁音符と半濁音符

濁音符(濁点) 濁音であることを示すために、清音のかなの右肩に打つふたつの点。 半濁音符(半濁点) 半濁音であることを示すために、清音のかなの右肩に打つ小さな丸。 なお、本記事においては濁音から濁音符を除いた(清音と同一の)部分を親字というこ…

和字・第14回 カタカナのナラベカタ

大きさ(ボディに対する字面の占有率) カタカナは、もともとは漢文を日本語に開く(訓読する)ための符号だった。漢字のかたわらに添える文字である。カタカナはひらがなよりも単純なために、字面率を同じにすると、間が抜けてしまい落ち着かない。だから、…

和字・第13回 ひらがなのならべかた

中学校の書写の教科書では、「漢字かな交じり文」のなかに「文字の大きさと配列」という項目がある。活字書体の場合にはボディの制約があるので、書写やレタリングのように自由ではない。ボディのなかで、どのくらいの大きさで、どの位置に入れるかというこ…

和字・第12回 カタカナのマトメカタ2

1 判別性の問題 カタカナは筆画が単純なので、似たような文字が多い。第一に注意すべきことは、誤読されないようにすることである。 ①「ソ」と「ン」、あるいは「リ」の場合 「ソ」と「ン」は、とくに和字ゴシック体においては「フリオロシ」と「フリアゲ」…