活字書体をつくる

Blog版『活字書体の仕様書』

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

漢字・第3回 要件

1980年代には、TQC(Total Quality Control)活動が推進されるようになった。QCというのは品質管理のことで、QCサークル活動が活発に行われた。書体設計部門も例外ではなかった。その第一歩として漢字書体の仕様書が作成されるようになった。 和字書体、欧字…

和字・第3回 みちすじ

1 使用する目的 活字書体はリリースされたと同時に制作者の手を離れる。その使用は購入した人に委ねられ、いかなる媒体で、いかなる使われ方をしようが、制作者はそれを見守るしかできない。そうだとしても、ただ漠然と制作しているわけではない。使用する…

欧字・第2回 コンセプトとインテンション

ネーミング(Vrijheid)欧字書体のネーミング(命名)は難しい。『欧文書体 その背景と使い方』(小林章著、美術出版社、2005年)には、「書体に名前をつけるのは難しい」というコラムがまとめられている。小林章さんデザインのFF Cliffordは、発売が決まっ…

漢字・第2回 概念・意図

概念 日本語の文章は漢字書体だけで組まれることは少ないが、漢文崩し(漢文を訓読したような文体で書かれた文章)のような漢字の割合の多い文章では、和字書体よりも漢字書体の形象(イメージ)が強く反映する。 本文以外で、例えば住所や氏名の表記、看板…

和字・第2回 よりどころとねらい

活字書体とは 「書体」とは何か。『広辞苑』(岩波書店)には次のように記されている。 しょたい【書体】 ①字体を基礎に一貫して形成された、文字を表現する様式・特徴・傾向。漢字の楷書・行書・草書、活字で和文の明朝体・ゴシック体・アンチック体など、…