活字書体をつくる

Blog版『活字書体の仕様書』

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

欧字・第8回 ディテールの調整

‥… 欧字書体においては、ディテールの調整が重要なポイントである。「錯視調整」とも「視覚調整」とも言われ、多くのレタリングのテキストでも書かれている。 1 文字の黒みを合わせるために、線の太さを調整する。(blackness) サンセリフ体の場合、同じ数…

欧字・第7回 ウィドゥスとカウンターの設定

…… タイプサイズ 活字の高さのことをタイプサイズという。現在は金属活字由来のpointと、日本の写真植字由来のQで表される。デジタルタイプのpointは、正確に1/72inchである。 ウィドゥス(width) 活字の幅のことをウィドゥスという。ウィドゥスは、字幅に…

欧字・第6回 ハイトとラインの設定

…… 1 baseline 大文字H、小文字nなどの仮想の並び線。OやVなどは視覚的に揃って見えるようにベースラインより少しはみ出すようにする。 2 cap-height and x-height キャップハイトはキャピタル・ハイトの略。Hなどの大文字の高さのことで、上部の並び線を…

欧字・第5回 エレメント

…… 1 エレメントの名称 次のような名称がある。 Stem(幹) Bowl(椀) Arm(腕) Foot(足) Spine(脊柱) Ear(耳) Shoulder(肩) Tail(尻尾) Bar(桟)、Crossbar(横木) Spar(垂木) Loop(輪) Apex(頂点) Peak(先端) Terminal(末端) Ver…

漢字・第24回 展開

…… ウエイトの展開 デジタルタイプでは、近代明朝体、ゴシック体を中心にして、Tn(シン=Thin)、L(ライト=Light)、R(レギュラー=Regular)、M(メディウム=Medium)、DB(デミボールド=Demi Bold)、B(ボールド=Bold)、EB(エクストラボールド=…

漢字・第23回 混植

…… 漢字書体だけの文章 漢字書体だけでの文章組みとしては、『千字文』が挙げられる。千字文とは、中国・梁の時代に、武帝(在位502年―549年)が周興嗣に命じて作らせた、文字習得のための教材である。 1000字の異なる漢字を一度の重複も無しに組み合わせて…

漢字・第22回 検査

…… 校正用出力 漢字書体の場合、誤字や異体字となっていることがある。制作中は文字のデザインに集中しがちになるのだ。まったく違う部首になっていたり、線が一本多かったり、とんでもない間違いが見落とされたということも経験している。 字体の基準となる…