個人的なルールとして、 「漢字」に対して、「和字」、「欧字」という。 「漢文」に対して、「和文」、「欧文」という。 「真名」に対して、「仮名」(万葉仮名、真仮名、草仮名)という。 とはいえ、なかなか割り切れないのが現実だ。せめて、「平仮名」は…
日本語書体は、おもに、和字・漢字・欧字の三つの文字体系で構成されている。中国語では漢字が中心である。西欧の各国語は欧字(ラテン文字)が中心である。 日本語書体を設計するときには、これを全部作るのであるが、欣喜堂では和字書体がベースで、漢字書…
2015年ごろ、勉強会の写植文字盤プロジェクトで、体験学習のために「白澤中明朝」「白澤太ゴシック」「白澤太アンチック」の書体見本を作成した。書体見本12字を48mm角の専用下書き用紙に鉛筆で描き、フィルムに墨入れをして原字とした。これを縮小して簡易…
『タイプフェイスデザイン漫遊』(今田欣一著、株式会社ブッキング、2000年)に「欣喜アンチック」という書体を試作している。その章のタイトルは「悠久の持続性」という大げさなものだった。 筆者はずっと和字アンチック体に注目していた。アンチック体とい…
復刻(活字→活字) 筆者が仕事として最初に取り組んだ漢字書体は『広漢和辞典』(大修館書店)用石井細明朝体(特注)だった。写植文字盤から48mm角のサイズに拡大したフィルム原字を修整した。 仿宋体(簡体字・繁体字。日本語版の紅蘭細宋朝体は販売されて…
復刻(活字→活字) 復刻とは、書物として以前に出版したものを新しく版を作り直し、もとのとおりに刊行することである。転じて、もともと活字書体として制作されたものを、デジタルタイプとして再生することを復刻ということにする。 筆者が仕事として最初に…
和字書体三十六景・十二勝から 和字書体三十六景・十二勝を構成する和字書体は、それぞれが独立したものであるが、これらを組み合わせることにより、グランドファミリーが構築できるのではないかと思う。和字オールドスタイル、和字ニュースタイル、和字モダ…
「美華」「伯林」「倫敦」——「日本語書体三傑」より 金属活字書体の揺籃期の見本帳『BOOK OF SPECIMENS』(平野活版製造所、1877年)では、ローマン体の各シリーズの他に、欧字書体としてのアンチック(Antique)とゴシック(Gothic)が掲載されている。ここ…
活字というのを狭い意味で考えると、金属活字、とくに鉛の活字を思い浮かべるが、もっと広い意味でとらえると、写真植字も活字の一種である。金属活字がメタルタイプというのに対して、写真植字機を英語で言うとフォト・タイプセッティングマシンになる。フ…
われわれが扱う文字は、書写・レタリング・タイプフェイス(活字書体)デザインの3種類に大別できる。個別の教科だけではなく、複数の教科を横断してみてみると、この3種類はすべて中学校で習っている。 書写 書写は、中学校の国語科のなかの書写で学習する。…
5 ファミリー内の位置 ウエイト:メディウム(Medium)とする。 6 使用する目的 本文用 (書籍・雑誌の本文/ウェブサイトの本文/広告のボディコピーほか) 7 組み方向 縦組/横組 8 適正印字サイズ 10Q—16Q 9 制作字数 計278字 (参考:「ばてれん」…
3 デザイン・コンセプト 「ほくと」は、『新考北海道史』の「序」と「まえがき」にもちいられた活字(和字書体)を参考にして、現代の日本語の活字書体(デジタルタイプ)として使用する目的で復刻・制作する。 参考にした資料:『新考北海道史』(奥山亮著…
1 活字書体の名称 「ほくと」(北斗) 原資料が札幌の北方書院から出版された『新考北海道史』であることから、函館〜札幌間を運転されている特急「北斗」にちなんで、書体の名称を「ほくと」とした。 参考: 特急「北斗」は1965年10月から函館~旭川間で運…
5 ファミリー内の位置 ウエイト:メディウム(Medium)とする。 6 使用する目的 本文用 (書籍・雑誌の本文/ウェブサイトの本文/広告のボディコピーほか) 7 組み方向 縦組/横組 8 タイプサイズ 10Q—16Q 9 制作字数 日本工業規格JISX0208:1997に基づ…
3 デザイン・コンセプト 「武英」は、官刻本(銅活字版)『古今図書集成』(1726年、武英殿)を参考にして、現代の日本語の活字書体(デジタルタイプ)として使用する目的で復刻・制作する。 参考: ①武英殿刊本(殿版)とは 武英殿刊本(殿版)とは、中央…
1 活字書体の名称 「武英」(ぶえい) 北京・故宮博物院の西南部に位置する武英殿から、書体の名称を「武英」とした。 参考: 武英殿は明代初頭に創建された。明代には皇帝の斎戒や大臣接見の場となり、清代には御用絵師のアトリエになっていたが、清代の16…
最初に書体見本字種12文字を制作するので、これだけでテスト用の組み見本ができないものかと考えたのが、つぎの文章です。文字数が140字になるように考えました。 グラフィック・デザイナーの東永なつみさんは、ペガサスとユニコーンの激闘にはとても驚いた…
書体見本字種は、次の12文字である。これは株式会社写研で使われていたものと同じである。筆者が選んだのではないが、一字一字の選定理由を考えてみた。 毛 結法では「疏法」で、字重として画数の少ない文字の基準にする。結法では均衡が取りづらい文字であ…
2017年2月24日をもちまして創業20周年を迎えることができました。これもひとえに皆様のご支援の賜物と心より感謝しております。これを機に決意も新たに鋭意努力いたす所存でございますので、今後ともご指導、ご高配を賜りますようお願いいたします。創業20周…
K.E.Geminiは、ウィリアム・キャズロン(1692−1766)が製作した活字(再鋳造)が使用されている『The Diary of Lady Willoughby』(1844年)から抽出したキャラクターをベースに制作した。 Caslon 540、Adobe Caslonなど既存の復刻書体を参考にしながら、不…
K.E.Taurusは、パリのクロード・ギャラモン(?−1561)が製作した活字が用いられている『ミラノ君主ヴィスコンティ家列伝』(1549)から抽出したキャラクターをベースに制作した。 Stempel Garamond、Adobe Garamondなど既存の復刻書体を参考にしながら、不足…
K.E.Ariesは、フランス人の印刷者ニコラ・ジェンソン(1420?−1481)が製作した活字が用いられている『博物誌』(1472年)の1ページを参考にして制作した。 Monotype Centaur、Adobe Jenson など既存の復刻書体を参考にしながら、不足のキャラクターも含め…
青山進行堂活版製造所『富多無可思』(1909年)の83ページに所載の四号楷書体活字からキャラクターを抽出した。株式会社東京築地活版製造所『活版見本』(1903年)の19ページも参考にした。復刻において、いちばんたいせつなのは書風を把握することである。…
東京築地活版製造所印刷『長崎地名考』(安中書店蔵版、1893年)および『五号明朝活字書体見本 全』(東京築地活版製造所、1894年)からキャラクターをサンプリングした。その上で、全体的に太さ、大きさ、姿勢、寄り引きなどを見直した。現代から未来にかけ…
内閣印刷局『内閣印刷局七十年史』(1943年)からキャラクターをサンプリングしたものをアウトライン化した。小さいポイントなので、まずはもとの線質を再現することからはじめた。基本的な書風を見極めながら、大きさをそろえたり、太さをそろえたり、寄り…
『欽定全唐文』(1814年、揚州詩局)の1ページを拡大し、双鉤填墨法によってアウトライン化した。そこから筆法・結法・章法を見極めながら書風をくみとり、意臨するがごとく、活字書体「蛍雪」として完成させていく。
明末の南京国子監刊本である『南斉書』(1588-1589)の1ページを拡大し、双鉤填墨法によってアウトライン化した。そこから筆法・結法・章法を見極めながら書風をくみとり、意臨するがごとく、活字書体「金陵」として完成させていく。
宋代の四川地方の刊本である静嘉堂文庫所蔵の『周礼』(巻第九・巻第十)を拡大し、双鉤填墨法によってアウトライン化した。そこから筆法・結法・章法を見極めながら書風をくみとり、意臨するがごとく、活字書体「龍爪」として完成させていく。
書体設計においては、どうしても一つひとつの文字の形にとらわれがちであるが、書風を見ることが大事だと思う。書風というのは、文章を組んだときの全体の雰囲気である。 筆法・結法・章法を見極めることも、すべては書風のためにある。 基本は書写にある。…
字角(ボディ)「字角」(ボディ)とは、活字書体を設計するスペース。すなわち活字一字分の大きさをボディ(写真植字では「仮想ボディ」)という。 字間(レタースペース) 『周礼』巻第九の第1ページの字間 文字と文字が接触するほどきつくなっている。文…