活字書体をつくる

Blog版『活字書体の仕様書』

和字・第4回 フォント(和字書体) 

欣喜堂で制作している和字書体のフォントは、ひらがな、カタカナ、および表記記号(約物・括弧など)が含まれている。

 

ひらがな

①ひらがな48字
ひらがな48字(清音・撥音)を制作する。

②音声符号付ひらがな
濁音符(゛)と半濁音符(゜)を、かたちと大きさを考えて制作する。
か行、さ行、た行、は行のひらがなに濁音符を、は行のひらがなに半濁音符の位置を決めて付加していく(半濁音符は、鼻濁音用として、か行につけることもある)。ひらがなに近すぎると判別しづらくなるし、離しすぎると別の文字のほうに近くなってしまう。
また、基本的にはボディに入っていなければならないので、書体によっては文字ごとに、濁音符と半濁音符のかたちと大きさを変えることがある。その場合でもひらがなの位置は変更しない。

③小書きのひらがな(縦組み用、横組み用)
促音を構成する「っ」、拗音を構成する「ゃ」「ゅ」「ょ」など、小書きのひらがなは、ひらがなに対するサイズを設定して縮小し、ひらがなに相当する太さにする。つづいて、縦組みでは右寄りに、横組みでは下付きになるように位置を設定する。

④繰り返し記号(ひらがな用)
ひらがなに合わせて、繰り返し記号「ゝ」「ゞ」(ひらかな返し)を制作する。※現在は制作していないが、ほかに「〳」「〴」「〵」(大がな返し)もある。また漢字用の繰り返し記号「〻」も、ひらがなに合わせて設計することになる。

⑤準文字
「〆」は和製漢字として扱われているが、その形状から考えて、欣喜堂ではひらがなと同じように制作している。

◆このほか、「ゟ」のような合字がある。


カタカナ

①カタカナ48字
つづいて、カタカナ48字を制作する。

②音声符号付カタカナ
基本的には、ひらがな用で制作した濁音符(゛)と半濁音符(゜)を流用する。
カ行、サ行、タ行、ハ行、ワ行のカタカナに濁音符を、ハ行のひらがなに半濁音符の位置を決めて付加していく(半濁音符は、鼻濁音用として、カ行につけることもある。ほかにアイヌ語用として半濁音付きカタカナが必要な場合がある)。ひらがな同様、カタカナに近すぎると判別しづらくなるし、離しすぎると別の文字のほうに近くなってしまう。
また、基本的にはボディに入っていなければならないので、書体によっては文字ごとに、濁音符と半濁音符のかたちと大きさを変えることがある。その場合でもカタカナの位置は変更しない。

③小書きのカタカナ(縦組み用、横組み用)
促音を構成する「ッ」、拗音を構成する「ャ」「ュ」「ョ」など、小書きのカタカナは、カタカナに対するサイズを設定して縮小し、カタカナに相当する太さにする。つづいて、縦組みでは右寄りに、横組みでは下付きになるように位置を設定する。

④反復記号(カタカナ用、漢字用)
カタカナに合わせて、繰り返し記号「ヽ」「ヾ」(カタカナ返し)を制作する。
漢字用の反復記号「々」や、行の反復記号「〃」も、カタカナに合わせて設計している。

⑤長音符号(縦組み用、横組み用)
音声符号のひとつである長音符(ー)は、音引ともいう。ひらがなにも使われるようになったが、基本的には、カタカナに合わせて設計している。

◆このほか、「ヿ」のような合字がある。

 

表記記号

①くぎり符号(縦組み用、横組み用)
句点「。」読点「、」中黒「・」のほか、横組み用のピリオド「.」コンマ「,」コロン「:」セミコロン「;」がある。和字書体として、大きさ、太さ、位置などを考えて制作する。
※欣喜堂では、感嘆符「!」・疑問符「?」は、和字書体としては制作していない。欧字書体に合わせて制作している。

②つなぎ符号(縦組み用、横組み用)
ハイフン「‐」、ダッシュ「—」、波ダッシュ「〜」、三点リーダー「…」二点リーダー「‥」がある。スラッシュ「/」、逆スラッシュ「\」や、単柱「|」双柱「‖」はくぎり符号ですが、制作上はつなぎ記号として扱っている。
※エンダッシュ「–」は、欣喜堂の和字書体では、今のところ制作していない。

③括弧類・引用符(縦組み用、横組み用)
丸括弧「()」、亀甲括弧「〔〕」、角括弧「[]」、山括弧「〈〉」、波括弧「{}」、鉤括弧「「」」、隅付括弧「【】」、二重山括弧「《》」、二重鉤括弧「『』」、および引用符「‘’」二重引用符「“”」を制作する。
※二重引用符「〝〟」は、和字書体としては今のところ制作していない。

 

強調・矢印・装飾

単独の和字書体では以下の字種は制作していないが、日本語総合書体としては制作している。
傍線:「_」「‾」(縦組み用・横組み用)
矢印:「↑」「↓」「→」「←」
印物:「○」「●」「□」「■」「◇」「◆」「△」「▲」「▽」「▼」「★」「☆」「◎」

以上、欣喜堂の和字書体としての字種(フォント)をまとめたが、このほか、丸入り文字、括弧入り文字、ルビ用文字などの展開が考えられる。

 

(「きたりす」がまだできていないので、以下の図版は「ばてれん」にしてます)

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