活字書体をつくる

Blog版『活字書体の仕様書』

和字・第10回 カタカナのマトメカタ

多田夏生氏は『基本かなの書き方』(多田夏生著、永岡書店、2002年)ではカタカナの外形法については記されていない。ひらがなだけでなく、カタカナにも同じことが言えると考え、少し強引ではあるが、六つの種類に分類してみた。

「円形」 オカネホヤヰ

「三角形」 スムハ

「逆三角形」 ウワタクウフラヲテケチナヌアマメノソツレンシサ

「正方形」 ヒモセロコヨ

「縦長形」 トイリミキ

「横長形」 エユヱニヘ

 カタカナは「フリオロシ」に特徴があるので、やはり半分以上が「逆三角形」(ということになったが、大小の差やフトコロの差もあることがわかる。そして「縦長形」の文字と「横長形」の文字があり、縦横の比率の差が大きいか小さいかで、その書体の性格が決まってくる。

現在ではカタカナはひらがなと同じ文字列に並べられるようになり、活字書体ではひらがなとカタカナがセットになっている。活字書体において、ひらがなとカタカナを調和させるために、外形(字型)も重要である。

ひらがなと同じように、カタカナにおいても和字ドーンスタイルでは、大小の差、縦横の比率の差は大きく、比較的にふところが狭いので、外形(字型)の差は大きいと解釈される。

逆に、和字モダンスタイルでは、大小の差、縦横の比率の差は小さく、ふところが広いので、外形(字型)の差は小さいと解釈される。例えば、和字ドーンスタイルでは「ニ」に比べて「リ」は極端に縦長になっている。

さらに、和字オールドスタイル、和字ニュースタイル、和字モダンスタイルと、カタカナもだんだん正方形に近づくというようになってきたようだ。

『図解ひらがなの書き方 附・カタカナ』(阿保直彦・相川政行編、木耳社、2012年)では、カタカナについても、「字形」として一字一字を説明しているので、これも参考にしたい。