活字書体をつくる

Blog版『欣喜堂ふたむかし』/『欣喜堂四半世紀』

和字・第12回 カタカナのマトメカタ2

1 判別性の問題

カタカナは筆画が単純なので、似たような文字が多い。第一に注意すべきことは、誤読されないようにすることである。

①「ソ」と「ン」、あるいは「リ」の場合

「ソ」と「ン」は、とくに和字ゴシック体においては「フリオロシ」と「フリアゲ」が似てしまうので、フデヅカイの方向がわかりづらくならないように注意しておく必要がある。「リ」の第一筆は「タテ」なのだが、短くなると「ソ」と混同する可能性があるので挙げておいた。

②「ツ」と「シ」、あるいは「ミ」の場合

第一筆、第二筆は、「ツ」が横並び、「シ」が縦並びになる。当然のことだと思われるが、ほんの少しの位置関係で紛らわしくなるので注意しておく必要がある。

③「ア」と「マ」、「ナ」と「メ」、「ス」と「ヌ」の場合

書写では誤読しやすい文字として挙げられているが、活字書体の場合にはそれほど紛らわしくはならないが、心の片隅に留め置けばいいと思う。

 

2 筆順の問題

①「ヒ」の場合

書写において「ヒ」の第一筆は「ヨコ」なので左から右に運筆するのが基本であるとされる。ただし翻刻・復刻書体においては、判別性に問題ないので、原資料のママにしている。

②「ヲ」の場合

書写において「ヲ」は「ニ+ノ」のように、ヨコ→ヨコ→フリオロシという筆順が基本である。ただし翻刻・復刻書体においては、判別性に問題ないので、原資料のままで「フ+一」のようにしている場合もある。

 

3 「ハネ」の問題――「オ」と「ホ」の場合

「オ」と「ホ」の第二筆の「タテ」は、書写でははねるように書かれているが、判別性に問題ないので、はねてもはねなくてもどちらでもよい。また「ホ」の第三筆は「トメ」でも「ハライ」でもどちらでもよい。

 

[附記]

ひらがなの「へ」とカタカナの「ヘ」をどう書き分けるかについて、明確な決まりがあるわけではないが、筆者は、とくに新刻において、書写で示されている「ひらがなはまろやか、カタカナは角ばる」ということに準じて制作するようにしている。

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参考:『図解ひらがなの書き方 附・カタカナ』(阿保直彦・相川政行編、木耳社、2012年)