活字書体をつくる

Blog版『活字書体の仕様書』

和字・第24回 展開

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字面サイズの展開

写植の石井明朝体には、字面率が大きい「大かな」、字面率が小さい「小がな」というファミリー展開があった。

この考え方はデジタルタイプでも多く踏襲されている。標準(ノーマル)に対して、大かな(ラージ)、小がな(スモール)を制作する場合もある。

 

 

ウエイトの展開

写植の石井明朝体では、細・中・太・特太、つまりL・M・B・Eの四段階を基本としていた。

電算写植やデジタルタイプでは、Tn(シン=Thin)、L(ライト=Light)、R(レギュラー=Regular)、M(メディウム=Medium)、DB(デミボールド=Demi Bold)、B(ボールド=Bold)、EB(エクストラボールド=Extra Bold)、UB(ウルトラボールド=Ultra Bold)、Bk(ブラック=Black)、H(ヘビー=heavy)のように、さらに細かいウエイト段階が設定されるようになっている。また、ウエイト段階の呼称として、W1~W9のように数字で表すこともある。

 

 

使用サイズの展開

写植のアンチック体に、小見出し用・中見出し用・大見出し用という例がある。

その使用サイズに適した書体にするということで、デジタルタイプでも書体名に「五号」とか「三十六ポ」とかが付けられたものはこれに相当する。使用サイズによってバリエーションを展開するということも、今後は考えられるのではないか。

 

 

組み方向の展開

石井細明朝体のモダンスタイルかな(仮称)では、縦組み用かなと横組み用かなが用意されていた。このように横組専用書体、縦組専用書体ということが考えられていいと思う。

 

 

ボディ幅の展開

漢字書体、和字書体のボディは正方形だとは限らない。いわゆる新聞用書体は平体(ワイド)が基本となっている。また、長体(コンデンス)の書体もある。写植では機械的な変形が可能になったが、どうしても歪みが生まれる。平体専用書体、長体専用書体が必要だろう。