活字書体をつくる

Blog版『活字書体の仕様書』

漢字・第20回 大きさの調整

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ひとことで大きさの調整といっても、易しいことではない。

活字書体の学習の第一歩として、まず◆、■、▲、▼のように図形で練習する。◆に対して、■は小さくしないと同じ大きさにはならない。どのぐらいのい大きさにするのかを感覚的につかむ練習をするのである。これはあくまで練習なので考え方を理解するためには有効であるが、漢字に置き換えると同じようにはできない。

次のカリキュラムとして、自分の名前を描いてみることになる。筆者は名前に恵まれた。というのは「今」は菱形(◆)、「田」は正方形(■)、「欣」は駒形、そして単純な「一」。図形での練習を、漢字に置き換えて練習するには、いい組み合わせだと思う。

大きさを合わせようとしたとき、図形の時と全く同じにはできない。「田」は、その書体の標準的な字面に保っておく必要がある。特に現代的な書体ほど調整の範囲は少なくなる。

大きさの調整は画数にも関係する。同じ字面にしたときに、画数の少ない漢字は全体的に空間が広く、大きく見える。画数の多い漢字は全体的に空間が狭く、小さく見える。

実際に並べてみると、大きさが不揃いに見えてしまうこともある。字面を同じにしても、抱懐の取り方、偏と旁のバランスなども大きさに影響する。一筋縄にはいかないものだ。