活字書体をつくる

Blog版『活字書体の仕様書』

欧字・第5回 エレメント

……

1 エレメントの名称

次のような名称がある。

Stem(幹)

Bowl(椀)

Arm(腕)

Foot(足)

Spine(脊柱)

Ear(耳)

Shoulder(肩)

Tail(尻尾)

Bar(桟)、Crossbar(横木)

Spar(垂木)

Loop(輪)

Apex(頂点)

Peak(先端)

Terminal(末端)

Vertex(交点)

Stroke(運筆)

Arch(弓形)

Link(連結)

Dot(点)

Counter(谷)

Axis(軸)

Stress(重心)

Serif(髭飾)

bracket(腕木)

hairline(細線)

 

2 ステム stem

 通常は、大文字のHや小文字のnなどの直線部分の画線を指す。

インペリアル・キャピタルでは、上部セリフの左からステムを描き、下部セリフの右を続ける。そののちに上部セリフの右、下部セリフの左を描き加える。ヒューマニスト・キャピタルの場合は、ステムを描いてから上下のセリフを描き加える。

ヒューマニスト・ミナスキュールでは、くさび型のセリフとフラット型のセリフがある。くさび型のセリフの場合には2筆に分けて書くが、フラット型では1筆で描くか、左右に分けて描く。

 

3 ボウル bowl

 大文字のOや小文字のbなどの曲線部分の画線を指す。

インペリアル・キャピタルでは、左回りのボウルを描き、つぎに右回りのボウルを描く。ヒューマニスト・キャピタル、ヒューマニスト・ミナスキュールも同様であるが、ペンの種類によって接触点が異なる。

 

4 セリフ serif

セリフとは、文字のストロークの端にある小さな飾りのこと。古代イタリアでの石刻文字が起源とされている。

bracket serif

セリフ部分の造形がブラケットになっている。このセリフを持つ17世紀までのローマン体を、オールド・ローマンと呼ぶ。

hairline serif

セリフ部分の造形がヘアラインになっている。このセリフを持つ18世紀からのローマン体を、モダン・ローマンと呼ぶ。

slab serif

セリフが四角くて厚い書体。スラブとは石板のこと。

sans serif

セリフのない書体の総称。