活字書体をつくる

Blog版『活字書体の仕様書』

欧字・第10回 カーニング

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Kerning カーニング

サイドベアリングの設定が終わると、カーニングの設定をおこなう。カーニングとは、特定の文字の組み合わせだけを調整する作業である。

例えば、TokyoのTとoの間のように、サイドベアリングの調整だけではどうしても空いて見えるような場合がある。このように特定の文字と文字との文字間を調整することをカーニングという。

設定されたカーニングの数値はフォントデータに組み込まれ、組版ソフトでは自動的にカーニングされる。特定の文字間の設定なので、Tとoのペアと、Tとhのペアでは、Tのカーニングの数値が違うことになる。

設定値は、その書体のウエイトや、使用するサイズによっても異なってくる。カーニング設定の作業では、実際に使うタイプサイズで検証しながらその度合いを決定していく。

カーニングの設定で注意するべきことは狭くしすぎないことである。設定しない場合よりも目立ってしまうようでは元も子もない。やや控えめにするぐらいにしておきたい。

カーニングは文字間を狭くするだけではない。たとえばf!というペアだと、設定しない状態では狭くなりすぎることがある。この場合には、fのカーニングの数値を広く設定する必要がある。

カーニングの設定は、大文字どうし、小文字どうしを考えると、数万組になってしまう。大きな問題のないペアを除外しても、本文用書体では1000ペアを超えるといわれている。欧字書体の制作においては、もっとも時間を要する工程である。