活字書体をつくる

Blog版『活字書体の仕様書』

欧字・第22回 検査

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欧字書体は、欧米各国語が組めるようにさまざまなテスト出力をおこない、チェックを繰り返す。

 

全数出力(タイプサイズ)

全数出力では、いく種類かのタイプサイズで出力し確認する。書体の制作目的に応じて、推奨すべきタイプサイズを集中的に見ることになる。エレメント、ウエイト、フォルムなどに破綻がないかどうか細かくチェックする。

※フルピッチフォントにおいては、縦組みで寄り引きがないかをチェックする。

 

全数出力(組み合わせ)

制作したすべての字種を組み合わせてチェックする。特に重要なのはスペーシングが適切かどうかの確認である。

ペア・カーニングは、全組み合わせでチェックするのは困難なので、使用頻度の多い組み合わせを重点的に見ることにしている。

 

文章出力

パングラム(pangram)とは、アルファベット26字をすべて使って、なるべく重複が少なくなるように作った短文のことである。書体見本などでは、パングラムを使うことが多く見られる。

The quick brown fox jumps over the lazy dog.

代表的なパングラムで、欣喜堂でもこれを使ってテストしている。「o」が4回あるように、複数回出てくる文字がいくつかあるが、パングラムは全部のアルファベットを使うということなので、同じ文字が複数回出てきて模様ということになっている。

 

全ての文字を1回ずつしか使わない場合は、完全パングラムと呼ばれるが、難易度が高いので、一般的には使用されない単語や略語を使わざるを得ないようである。

CWM FJORD VEG BALKS NTH PYX QUIZ.

Cwm fjord veg balks nth pyx quiz.

 

完全パングラムの代表的なもので、欣喜堂では大文字のテストに使用しているが、意味はよくわからない。

 

数字についても、0から9までをすべて一度ずつ使った簡単な計算式を用いてテストしている。これもいくつかのパターンが考えられる。一例を挙げておく。

3+84+975=1062

 

※2020年12月11日更新