活字書体をつくる

Blog版『欣喜堂ふたむかし』/『欣喜堂四半世紀』

欧字・第12回 スモール・レター

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スモール・レター(small letters)は、小文字のことである。ミナスキュール(majuscule)ともいう。金属活字では、活字ケースを植字台の下部に立てかけたことから、ローワーケース(lower case)と呼んでいた。

フランク王国・カロリンガ朝の国王であるカール大帝(Karl der Grosse 742–814、在位 768–814)はアルクイン・ヴォン・ヨーク(735–804)をまねき、トゥールの大修道院長に抜擢した。

アルクインは修道院内に写本室を開設し、後期ローマ時代のアンシャルを小文字にしたハーフ・アンシャルをアレンジしてあたらしい書体を考案した。これがカロリンガ・ミナスキュール(カロリンガ朝の小文字)である。

ルネサンス期になって、カロリンガ・ミナスキュールが見直されて、それまでのブラック・レターに代わって登場したのがヒューマニスト・ミナスキュールである。これが活字のローマン体へと継承されている。スモール・レターも実際にカリグラフィ用のペンで書いてみて、それぞれの形象が理解するとよい。

その上で、活字書体の制作にあたっては合理的な手法をとる。スモール・レターには、hのようなアセンダーのある文字、oのようなエックスハイトに揃える文字、pのようなディセンダーのある文字に分けられる。その代表的な文字として、hopからデザインしていくのがやりやすいと思われる。次に斜めの線が入ったvを作るとよい。

アセンダーラインはたいていキャップラインより高くなる。つまりhはHより高い。カウンターは、Hとhのバランスを見ながら決めていく。oはhと同じカウンターに見えるようにデザインするが、実際の幅はoのほうが広くなる。pのディセンダーはhのアセンダーと同じぐらいになるように設定するとよい。

hopをもとにそのほかの文字を作っていく。たいていの文字は、このエレメントの組み合わせでできている。vをもとにして斜めの線が入ったwyxkを作る。

最後に、特殊な形の文字をつくる。fとtの横線はミーンラインと同じか少し下にする。agszはやっかいであるが、その書体を特徴つける文字でもある。他の文字とイメージを合わせてじっくりと作っていく。