活字書体をつくる

Blog版『活字書体の仕様書』

2014-01-01から1年間の記事一覧

「端午」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) 第1画、第2画、第3画とも水平の直線になっている。「仰」「平」「覆」の区別はない。 2 川字三法(豎画) 第1画、第2画、第3画とも垂直の直線になっている。「向」「直」「背」の区別はない。

「銘石」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) 横画はすべて水平である。 第1画、第2画は波形をもたない。画の長さは、第1画が第3画の70%、第2画が55%ぐらいだが、原資料「王興之妻宋和之墓誌」では同じぐらいの長さになっている。第3画は大きく波形をもつところだが、「銘石」は波形…

「方広」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) ①第1画は収筆部にむけて上に反る。上側のアウトラインが弓なりになっている。基本の6度よりも急で、およそ9度ぐらいだ。画の長さは短く、第3画の70%である。 ②第2画はまっすぐに運筆する。角度も6度ぐらいだ。画の長さは、第3画の60%で…

「美華」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) 第1画、第2画、第3画とも水平の直線になっている。「仰」「平」「覆」の区別はない。 2 川字三法(豎画) 第1画、第2画、第3画とも垂直の直線になっている。「向」「直」「背」の区別はない。

「蛍雪」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) ①第1画は収筆部にむけて上に反る。「蛍雪」の場合には、上側のアウトラインが弓なりになっている。基本的な6度という角度より少し急で7度ぐらいだ。画の長さは短く、第3画の70%ぐらいだ。 ②第2画はまっすぐに運筆する。「蛍雪」もまっ…

「武英」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) 過渡期明朝体は横画が水平になる。第1画、第2画、第3画ともに同じ筆法で「仰」「平」「覆」の区別はしないが、逆転することのないように注意する必要はある。 画の長さは第3画を基準にすると、第1画はその70%ぐらい、第2画は60%ぐらい…

「金陵」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) ①第1画は、3.5度弱ぐらいの角度で、基本とする3度よりごくわずかに急になっている。ほぼ直線で、画の長さは第3画の70%ぐらいだ。 ②第2画は基本とする3度である。まっすぐに運筆しており、画の長さは、第1画の60%ぐらいと、かなり短い。 …

「志安」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) ①第1画は、基本とする12度という角度より急の15度ぐらいになっている。起筆は上からの脈絡を残して折り返し、グイッと弓なりに収筆部に向かって持ち上げている。画の長さは第3画の半分強ぐらいだ。 ②第2画は基本とする12度で、まっすぐ…

「龍爪」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) ①第1画はほぼ直線になっているので、基本とする6度という角度より急の9度ぐらいになっている。それを収筆部の龍爪で押さえている。画の長さは短く、第3画の85%ぐらいだ。 ②第2画はまっすぐ運筆している。角度も基本の9度になっている。…

「陳起」の三字三法・川字三法

1 三字三法(横画) ①第1画はほぼ直線であるが、上側のアウトラインの中ほどが若干反っている。基本的な9度という角度よりは急で、11度ぐらいになっている。画の長さは短く、第2画にくらべて1.2倍ぐらいだ。 ②第2画はまっすぐで、角度も基本の9度になってい…

漢字・第13回 左右法

第十九法 左寛右窄法 第二〇法 左窄右寛法 左部を広く右部を狭くする結法と、左部を狭く右部を広くする結法である。 第二一法 譲左法(じょうさほう) 第二二法 譲右法(じょうゆうほう) 旁をひかえる結法と、偏をひかえる結法である。偏と旁の関係によって…

「端午」の十字二法

『瞿秋白文集 一』(人民文学出版社、1953年)をベースにした「端午」の字様をみていきたい。この見出し書体も、細部についてはさまざまな解釈ができると思う。まだ試作の段階であるが、現時点での私なりの解釈によって書き進めていくことにする。 現代の黒…

「銘石」の十字二法

王興之墓誌(341年)と宋和之墓誌(348年)をベースにした「銘石」の字様をみていきたい。この墓誌銘の字様は、これまで見てきた楷書系書体とはことなり、東漢の隷書体から北魏の真書体への中間だといわれている。これを、隷書体にちかいものとして捉えるこ…

「方広」の十字二法

『大方廣佛華巖経』(990年—994年、龍興寺)をベースにした「方広」の字様をみていきたい。「方広」は仏教経典・儒教経典で用いられた荘厳で権威的なイメージのある肉太の楷書体である。 仏教経典の印刷は唐代から行われており、時代と地域を越えて、経典の…

「美華」の十字二法

『舊約全書』(1865年、美華書館)をベースにした「美華」の字様をみていきたい。『舊約全書』の本文書体は5号活字である。細部については、さまざまな解釈ができると思う。まだ試作の段階であるが、現時点での私なりの解釈によって書き進めていくことにする…

「蛍雪」の十字二法

『欽定全唐文』(1814年、揚州詩局)をベースにした「蛍雪」の字様をみていきたい。「蛍雪」は工芸の文字として整理がすすんでおり、一般的に楷書体と一括される書体のなかでも、「宋朝体」「明朝体」と同格に、印刷書体としての「清朝体」として分類すべき…

「武英」の十字二法

清代前期の武英殿銅活字本『古今図書集成』(1726年、武英殿)をベースにした「武英」の字様をみていきたい。 これまでみてきた楷書系書体がそうであるように、「武英」もまた横画が細く豎画が太い。ファミリー化にあたっては、横画は細いままで、豎画のみ太…

「金陵」の十字二法

明末の南京国子監刊本である『南斉書』(1588年−1589年)をベースにした「金陵」の字様をみていきたい。 「金陵」もまた横画が細く、豎画が太い。ファミリー化にあたっては、横画は細いままで、豎画のみ太くすることになる。 1 横画 明代にいたって、横画の…

「志安」の十字二法

元代の福建地方の刊本である『分類補註李太白詩』(1310年、勤有書堂)をベースにした「志安」の字様をひもといていきたい。 「志安」も横画が細く、豎画が太くなっているので、ファミリー化する場合には、横画は細いままで、豎画のみ太くすることになるだろ…

「龍爪」の十字二法

宋代の四川地方の刊本である『周礼』(巻第九・巻第十、静嘉堂文庫所蔵)をベースに制作した「龍爪」の字様をひもといていきたい。 「龍爪」もまた横画が細く、豎画が太い。ファミリー化にあたっては、横画は細いままで、豎画のみ太くすることになるだろう。…

「陳起」の十字二法

臨安府棚北大街陳宅書籍鋪刊行の『南宋羣賢小集』(五八種九五巻)をベースにした「陳起」の字様をひもといていきたい。「陳起」は、工芸の文字として様式化がすすんでいるが、書写における楷書体の筆法を色濃く継承している。 横画は細く、豎画は太い。ファ…

漢字・第5回 十字二法

十字二法は横画と豎画で構成される。 豎画は柱、横画は梁である。 1 横画 横画は、起筆・送筆・収筆から成り立つ(三折法)。 2 豎画 豎画は、起筆・送筆・収筆から成り立つ(三折法)。 十字二法の展開として、「三字三法・川字三法」というのがある。三…